TAKA blog

印刷業界の仕事や会社の愚痴ブログ

水なし印刷

ある日以前A社で印刷した印刷物と印刷データが入稿、そのデータで印刷した所、印刷会社が変われば機械もインクの種類もオペレーターも変わるので、A社とまったく同じ色の印刷物を上げるのはなかなか難しいってのはわかります。

色の事はこの際置いておくとして、印刷の絵柄がA社と比べてクッキリしてシャープさが上がったように見えました。印刷課とそのことで聞いた所、A社の印刷物は水あり印刷、ウチの印刷物は水なし印刷だからその差が出たんじゃ!!と返答がきました。

 従来のオフセット印刷は、印刷工程で油をはじく湿し水(しめしみず)が使われていて、この湿し水は有害な廃液がでます。
比べて水なし印刷は、専用の版にシリコンゴム層が従来の湿し水に相当し、有害な廃液が出ないエコな印刷方式なのです。
この2種類の異なる方式での印刷なので同じ印刷データでもそれぞれの個性が出た印刷物が出来上がったわけです。 

 

オフセット印刷は、版に生成された細かい網状の点で色を表現しています。

この点は網点と呼ばれ、大きさ、密度によって色の濃淡が表現されます。

 

        モノクロでの例

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  水ありの印刷だとまさに水で滲んだ感じに網点が表現されます。

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  水なし印刷だと網点がクッキリとした感じで網点が表現されます。

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この網点の印刷表現の差が出て同じデータの印刷物で見た目変化が出た様です。クライアントには、やり直しを要求された訳ではないのですが理由を聞かれたので水無し印刷ですよという事で納得していただきました。


水ありと水なし印刷での印刷物をみて思ったのですが、印刷物の内容によってはお互い向き不向きがあるのではないかと思いました。


例えば人物写真の肌等は水あり印刷の滲んだ表現が綺麗に見え、機械類などの写真は水無し印刷のほうがパキッとシャープに表現されいい感だと思いした。


まあ・・水なし印刷も以前に比べてインクも改良されていき、肌物の様な物でも水あり印刷の様に滑らかに表現されるようになってきたと水なし印刷を押す自分でありました。